ライ麦粉
ライ麦粉は、ライ麦の穀粒を挽いて作られる粉です。グルテンを形成するタンパク質が少なく、水溶性の食物繊維であるペントサンを多く含んでいるため、水分吸収力が高く、独特の粘り気としっとりとした内相を生み出します。パンに深い香ばしさと酸味、そして栄養価の高さをもたらすのが特徴です。
サワードウでの重要性
ライ麦粉は、ルヴァン種の活性を安定させて、サワードウブレッド特有の奥深い風味を生み出すために重要な要素の一つです。ミネラル分が豊富に含まれているため、ルヴァン種の酵母菌や乳酸菌の働きを力強くサポートし、活きの良いルヴァン種を育てます。これにより、私たちが目指すオープンクラムのパン作りの土台となります。メイン生地に少量加えることで、風味と栄養価を高めつつ、パンの日持ちも良くする役割で使用します。
ライ麦粉の製パンにおける特徴
ライ麦粉は小麦粉と異なり、グルテン骨格を作る力が弱いため、大量に使うと生地が重く、内相が詰まったパンになります。しかし、その豊富なペントサンが保水力を高めるため、焼き上がったパンはしっとりとして老化しにくいという利点があります。一般的に、小麦粉に少量加えることで、ライ麦の風味としっとり感を加えたパン(カンパーニュなど)が作られます。
使用上のポイント
私が使用している富澤商店の北海道産ライ麦全粒粉は、ルヴァン種のスターターの餌として特に適しています。メイン生地に使う場合は、強力粉(春よ恋など)のグルテン形成を妨げないように、全量に対して 10% 程度の配合から試すことを推奨します。また、ライ麦粉は天然の酵素活性が高いため、モルトパウダーと併用する場合は、生地がだれすぎないようモルトの量を微調整することが成功の鍵となります。
富澤商店のおすすめライ麦粉の選び方(挽き方別)
富澤商店のライ麦全粒粉には、主に「粗挽き」「中挽き」「細挽き」があり、それぞれパンの仕上がりに違いが出ます。
| 挽き方 | 富澤商店の商品例 | 産地 | 食感の特徴 | 生地への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 細挽き (Finely Milled) | ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント | ドイツ・カナダ主体 | 粒感が少なく滑らか。小麦粉と混ぜやすく、比較的ふんわりと仕上がりやすい。 | ルヴァン: 水分を速やかに吸収し、発酵が速い傾向にある。ルヴァンを活発にしたい時や、早く仕込みたい時に使いやすい。 パン生地: 小麦粉と混ぜやすく、中挽きに比べてふんわりと仕上がりやすい(ライ麦比率30%程度まで)。プチプチ感は少ない。 |
| 中挽き (Medium Milled) | ライ麦全粒粉 ヘルゴラント | ドイツ・カナダ主体 | 粒の大きさが中間。風味とプチプチとした食感のバランスが良い。 | ルヴァン: 粗挽きよりはスムーズに水分を吸収し、安定した発酵が期待できる。 パン生地: 粗挽きほど重くならず、全粒粉の風味も活きる。 |
| 粗挽き (Coarsely Milled) | 北海道産 ライ麦全粒粉 | 北海道 | 粒が大きく、全粒粉らしい強いプチプチ食感が楽しめる。ずっしりとした重いパンに仕上がりやすい。 | ルヴァン: 粗いため、水分を吸収するのに時間がかかり、発酵の初期は少し遅くなる可能性がありますが、栄養豊富で力強いルヴァンが育ちます。 パン生地: ずっしりと重い食感に仕上がりやすい。 |
おすすめの選択肢
1. 基本として適任なのは「中挽き」や「細挽き」
サワードウのルヴァン種やスターターを作る場合や、カンパーニュなどライ麦の比率が比較的低い(10~30%程度)パンに使う場合は、小麦粉と混ぜやすく、安定した発酵が期待できる中挽きや細挽きが使いやすいです。
- ライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽):全粒粉の風味と食感のバランスが良いです。
- ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽):ふんわりと滑らかな食感を好む場合におすすめです。
2. 北海道産ライ麦全粒粉もルヴァン用として最適
北海道産 ライ麦全粒粉は粗挽き寄りとされていますが、サワードウのルヴァン種に使う粉は、栄養価が高く発酵力が強い全粒粉が最も推奨されます。ルヴァン種とパンの風味付けに使用するのは大変おすすめです。

