目標生地温度
目標生地温度とは
パン生地をこね上げた直後、またはミキシングが完了した直後に目指す生地の最終温度のことです。この温度は、その後の発酵工程(特にファーメントリーズ)をレシピ通りに進行させるために、最も重要な管理指標の一つです。
サワードウでの重要性
サワードウブレッドは天然酵母と乳酸菌の活動に依存しており、その活動速度は温度に極めて敏感です。目標生地温度を正確に設定することで、生地全体に含まれる乳酸菌と酵母のバランスをコントロールし、レシピが意図する風味(酸味の強さなど)と発酵時間通りに生地を進行させることができます。
詳細な解説
- 目標生地温度の科学的役割: 生地温度が低いと発酵が遅くなり、乳酸菌(酸味)の生成が優位になりやすく、高いと酵母の活動が活発になりすぎて、短時間で発酵が進みすぎてしまいます。生地温度は、その後の発酵時間を正確に予測するための基本データとなります。
- 実践的な利用: 目標生地温度を計算するには、「仕込み水温度=目標生地温度×3(または4)-(粉の温度+室温+摩擦熱(ミキサーの熱))」(概算)という計算式を用いて、加える水の温度を調整します。当サイトのレシピでは、24度から26度を目標生地温度とすることが多いです。
- 他の用語との関連: 発酵工程のコントロールにおいて、温度管理は時間管理と並んで最も重要であり、サワードウスターターのリフレッシュの際にもこの概念が適用されます。
🌡️ DDTの詳細と指針
DDTが必要な理由
サワードウの発酵は、主に酵母と乳酸菌・酢酸菌の活動によって決まりますが、これらの活動は温度に非常に敏感です。
- 温度が高い場合:発酵が速く進み、マイルドな風味になりやすい。
- 温度が低い場合:発酵がゆっくり進み、強い酸味が出やすい。
DDTは、この発酵スピードと風味を思い通りに操るための、計画的な仕込み温度となります。
理想のDDT指針
目指すパンの風味や作業スケジュールに応じて、DDTを設定します。
| 目的 | 目標DDT(目安) | 特徴と効果 |
| 標準・バランス型 | 24℃ ~ 26℃ | 多くのレシピで推奨される基本的な温度帯。風味と作業性のバランスが良い。 |
| マイルドな風味 | 26℃ ~ 28℃ | 発酵時間を短縮し、乳酸菌の働きを優位にすることで、酸味を抑えたパンを目指す。 |
| 強い酸味(酸味重視) | 22℃ ~ 24℃ | 発酵時間を長く取り、酢酸菌の働きを促すことで、伝統的な強い酸味を目指す。 |
💧 水温の計算式と使い方(プレーンテキスト形式)
DDTを達成するために、パン職人は以下の計算式を使って水温を決定します。
水温 = (DDT × 3) – (室温 + 粉温 + 摩擦係数)
この計算式で得られた水温の水を使うことで、外部環境(室温や粉温)の影響を打ち消し、ご希望のDDTで生地を仕込むことができます。
用語の解説
| 用語名 | 〇〇(用語名)とは | サワードウでの重要性 |
| DDT | あなたが目指す理想の生地温度。 | この目標値になるように水温を調整し、安定した結果を得る。 |
| 室温 | 生地をこねる環境の温度。 | 季節による温度変化が激しい日本の環境下で、計算の補正要素として不可欠。 |
| 粉温 | 使用する強力粉(春よ恋など)の温度。 | 粉は全材料の多くを占めるため、その温度がDDTに与える影響は大きい。 |
| 摩擦係数 | ミキサーや手ごねによって、生地に伝わり温度を上昇させる熱量(℃)。 | こねる作業で発生する熱をあらかじめ差し引いて計算することで、正確なDDTを実現する。 |
摩擦係数の目安
| こね方 | 摩擦係数 |
| ミキサー(スタンドミキサーなど) | 5℃ |
| 手捏ね | 2℃ |
⏱️ DDTを測るタイミング
DDTは、すべての材料(粉、水、ルヴァン、塩など)を混ぜ終え、こね上げが完了した直後に確認します。
これは、こねている間に発生する摩擦熱による温度上昇を含めた、発酵が実際に始まる瞬間の最終的な生地温度が、計算した目標値と一致しているかを確認するためです。
💻 DDT計算機(インタラクティブツール)のご案内
このページで解説しているDDT(目標生地温度)を達成するために必要な水温は、以下の計算機を使って簡単に求めることができます。
DDT計算機へのアクセスと使い方
サイトの右上にあるメニュー項目「DDT計算機」をクリックすると、計算ウィンドウが画面の最前面に表示されます。
- 目標DDT値(例:25℃)を入力します。
- 現在の室温と粉温を測定し、入力します。
- こね方に応じて「ミキサー (5.0)」または「手捏ね (2.0)」を選択します。
- 「水温を計算」ボタンをクリックすると、適切な水温が自動で計算されます。
この計算機を利用して、毎日安定した温度で生地を仕込み、あなたの求めるサワードウブレッドの風味と食感を実現してください。

